アメリカのミシガン州に本社を置く自動車メーカー、フォード
創業者は世界の自動車王ヘンリー・フォード1世。GM・クライスラーと並び称される、米国自動車メーカー「ビッグスリー」の一つです。
フォードの歴史は、わずか11人のスタッフと小さなオフィスから始まりました。1903年、ヘンリー・フォードが設立。彼は副社長兼主任エンジニアでした。オフィスは荷馬車店を改造したもので、ここからも歴史を感じることができます。
フォードは1908年までにAからSまでのアルファベットを冠した車を開発し続けましたが、ヒットを生むことはできませんでした。しかし、Sの次に開発したT型によって、大量生産スタイルを確立。1台当たりの自動車生産コストの抑制できる効率的な生産システムは、現代まで続く自動車製造の礎となり、自動車製造に大きな影響を与えました。
部品を均一化・均質化し、互換性を確保。ベルトコンベア式の組み立てラインによって、流れ作業・分業化を可能とし、製造工程の短縮化に成功。この製造システムによって、車の大量生産・廉価販売を可能としたのです。このT型フォードは、20年近く、改良を重ねながら生産が続けられました。
かつて、自動車は富裕層のおもちゃと呼ばれ、とても高価なものでした。
しかし、フォードは大衆にも購入可能な価格で自動車を製造し、車を一般社会に大きく広めました。この点で、フォードは自動車業界にとって偉大なメーカーと言えます。ただ、フォードがはじめた大量生産システムは長時間にわたって同じ作業を繰り返すものであり、製造する労働者にとっては過酷な作業でした。労働環境としては良いとは言えず、このことをチャップリンは映画「モダンタイムズ」で風刺しています。